① なぜ PHP バージョンアップが必要か

PHP の各バージョンには、以下 3 つの期間があります。

  • Active Support(通常サポート):バグ修正+セキュリティ修正を提供(リリースから約 2 年)
  • Security Fixes Only(セキュリティ修正のみ):重大なセキュリティ修正のみ提供(さらに 1 年)
  • End of Life(サポート終了):修正提供なし、脆弱性が発見されても放置

サポート終了したバージョンを使い続けると、新たな脆弱性が発見されても修正されないため、攻撃者にとっての格好の標的になります。情報漏洩・改ざんのリスクが大幅に上昇します。

また、サポート終了バージョンは、クラウド・レンタルサーバ側で順次サポート外になり、「サイトが突然動かなくなる」事態も起きえます。

② PHP 8.x サポートスケジュール

2026 年 10 月現在のサポート状況は以下の通りです。

PHP バージョン初回リリースActive Support 終了セキュリティ修正終了(EOL)現在のステータス
7.42019年11月2021年11月2022年11月EOL(危険)
8.02020年11月2022年11月2023年11月EOL(危険)
8.12021年11月2023年11月2024年12月EOL(危険)
8.22022年12月2024年12月2025年12月EOL 間近 / EOL
8.32023年11月2025年11月2026年11月セキュリティのみ
8.42024年11月2026年11月2028年12月Active
8.52025年11月予定2027年11月予定2029年12月予定Active(最新)
注意

PHP 7.4 や 8.0 ・ 8.1 を未だに本番で動かしている場合、既知の脆弱性が放置されたままです。公開 Web サイトなら今すぐ対応をおすすめします。上記のサポート終了日は PHP 公式サイト(php.net)の最新情報に合わせてご確認ください。

③ 自社の PHP バージョン確認方法

方法 A:サーバ管理画面(レンタルサーバ利用時)

さくら、エックスサーバー、お名前.com などのレンタルサーバでは、管理画面の「PHP バージョン切り替え」などの項目でバージョンを確認できます。

方法 B:phpinfo() を使った確認(技術者向け)

サイトのルートに `info.php` という名前で以下のファイルを作成し、ブラウザでアクセス:

<?php phpinfo(); ?>

確認後は必ずこのファイルを削除してください(サーバ情報漏洩の原因になります)。

方法 C:HTTP ヘッダから確認

ブラウザの開発者ツール→ Network タブで、ページの Response Headers に `X-Powered-By: PHP/8.2.0` のように表示されます(ただしサーバ側で非表示設定にされている場合もあります)。

④ 移行の 5 ステップ

ステージング環境で動作確認

いきなり本番サーバで PHP バージョンを変えると、サイトが真っ白になるリスクがあります。必ずステージング環境(複製環境)を作り、新しい PHP バージョンで動作確認します。

非推奨関数・廃止関数のチェック

`phpcs`(PHP CodeSniffer)や `php-cs-fixer`、`rector` などのツールで、新バージョンで動かない関数・構文を一括検出。WordPress・Laravelでは、プラグイン・パッケージ側の互換性も確認。

必要箇所を書き換え

検出された箇所を順次書き換え、エラーが消えるまでテスト。ユニットテストが整備されているシステムなら、この作業は格段に楽になります。

プラグイン・ライブラリの更新

WordPress ならプラグイン全体を最新版に、Composer 系なら `composer update` で依存ライブラリを更新。「古いまま動いていたプラグイン」の対応がなくなっている場合、代替プラグインの検討が必要。

本番適用+監視期間

ステージングでの動作確認が完了したら、本番適用。切り替え後 1 週間は、エラーログ・アクセスログを注意深く監視。問題があれば旧バージョンにロールバックできる手順も用意しておきます。

⑤ WordPress ・ Laravel 等フレームワーク別の留意点

WordPress

WordPress 本体は PHP 8.x 対応済み。問題はプラグインとテーマです。古いプラグイン(数年更新されていないもの)は、PHP 8 で動かないケースが頻発します。更新停止プラグインは、代替プラグインに置き換えるのが鉄則。

Laravel

Laravel 10 以降は PHP 8.1+、Laravel 11 は PHP 8.2+ が要件。古い Laravel プロジェクト(7 ・ 8 系以前)は、PHP アップデートと同時に Laravel 自体のアップデートも必要になることが多いです。アップデートガイドに沿って、1 バージョンずつ段階的に実施。

EC-CUBE

EC-CUBE 4 系は PHP 8 対応済み。古い EC-CUBE 2 系・ 3 系からの移行は、ECサイトの構造変更を伴うため、大規模プロジェクトとして計画します。

スクラッチ開発の社内システム

個別事情が大きい。発注時の制作会社に動作確認を依頼するか、新しい保守パートナーに移行診断を依頼。

まとめ

PHP バージョンの放置は、セキュリティ・サーバ運用・将来の拡張性のすべてにマイナスです。

  • PHP 7.x を使っている → 今すぐ 8.3 以上への移行計画を
  • PHP 8.0〜 8.2 → 向こう 6 ヶ月以内に 8.3 以上へ
  • PHP 8.3 → 2026 年中に 8.4 へのアップデート計画を

移行は難しくありませんが、独自カスタマイズが多いシステムほど、慎重な事前調査が必要です。

POINT

合同会社 SKY では、札幌・北海道の中小企業向けに、既存 PHP サイトのバージョン移行診断・実施作業を承っています。「このまま続けて大丈夫か?」のお悩み相談だけでも歓迎です。